会社設立前の売上や経費は会社と個人のどっちで申告するべき?【会社で申告するための2つの条件】

会社設立までに発生した売上や経費は、新たに設立する会社の所得として申告するのか?若しくは個人の所得として申告するのか?

直感的には、会社設立前で会社がないんだから、個人の所得に含めて申告するべきのように思われるかもしれませんが、実は新たに設立する会社の1期目の所得に含めることも可能です。ただし、注意すべき2つの条件がありますので、本記事で詳しく解説します!

目次

会社設立前の売上や経費の税務上の取扱い

【結論】新規事業・(長すぎない)設立期間であれば会社で申告可能

今回解説する論点については、法人税法基本通達でしっかりと定められているので、その条文を確認してみましょう!ポイントは赤字にしています。

(法人の設立期間中の損益の帰属)
2-6-2 法人の設立期間中に当該設立中の法人について生じた損益は、当該法人のその設立後最初の事業年度の所得の金額の計算に含めて申告することができるものとする。ただし、設立期間がその設立に通常要する期間を超えて長期にわたる場合における当該設立期間中の損益又は当該法人が個人事業を引き継いで設立されたものである場合における当該事業から生じた損益については、この限りでない。

つまり、設立期間中の売上や経費でも、設立期間が常識的な期間で、かついわゆる法人成りに該当しなければ、会社の1期目の所得に含めて申告しても良いということです。

会社がまだ出来ていないからといって、わざわざ個人事業として申告しなくてもいいということので、実務上は簡単でいいですね!

この規定の趣旨としては、実際問題として、会社設立期手続き中でも売上や経費が発生する場合もあり、会社がまだ出来ていないからと言って、それらの損益をわざわざ別に考えると実務上複雑になってしまうことから、課税上の弊害(2つの条件。詳細は後述)がない限りは、会社の所得に含めても差し支えないということになっています。

なお、当該規程を用いて会社の所得に含めたとしても、会社の事業年度開始の日はあくまで会社の設立登記日となりますので、例えば減価償却の開始はすでに使用を開始していたとしても、設立登記日からとなりますので、その点は注意が必要です。

では、この規定が適用されない2つの条件について、下記で解説します。

条件①:設立期間が常識的な期間内(概ね1か月程度)

会社設立前の損益を会社の1期目の所得に含めるためには、設立期間が長すぎない常識的な期間であることが必要と条件となっています。この常識的な期間としては、一般的に具体的に準備を始めてから1か月もあれば、設立登記の完了まで出来てしまうので、1か月程度が常識的な期間として考えられています。

ただし、明確な基準がある訳でないので、1か月を超えたとしても、会社設立の準備や作業にちょっと時間がかかった理由がちゃんとあるのであれば、その間に発生した損益を会社の1期目の所得に含めることは可能です。

あくまで常識的な期間ということでお考えいただければと思います!

条件②:新規事業(個人事業からの法人成りは×)

会社設立前の損益を会社の1期目の所得に含めるためには、もう一つ条件があって、その損益が個人事業からの法人成りに該当しないことが必要な条件となります。元々個人事業で行っていた事業を新たに会社に引き継いて行う法人成りの場合には、その会社の設立期間中に発生した損益は個人事業の所得として、申告することになります。

これは、元々個人事業で行っていた事業であるならば、会社が出来るまでは個人事業として確定申告をすれば特に問題もなく、実務上の配慮をする理由も特にないためです。法人税法の基本的なスタンスとしては、あくまで会社のスタートは設立登記日からであり、それまでは法人の所得ではないというのが基本的な考え方(原則)となります。

まとめ

以上「会社設立前の売上や経費は会社と個人のどっちで申告するべき?」についてでした。

売上が発生しそうになり、急遽会社を作ろうと思った場合には、今回のようなケースに該当することも結構あるかなと思います。その時は、設立期間中の損益でも、会社の設立期間が概ね1か月程度で、かつ個人事業からの法人成りでなければ、新たに設立する会社の1期目の所得に含めることが可能です!^^

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