関連当事者取引の集計を効率的に行うコツ【仕訳に相手先を入れる】

関連当事者取引は、仕訳に相手先の情報を入れておくことで効率的に集計することができます。

本記事では、仕訳に相手先情報を入れることのメリットや相手先情報の付与の仕方についてご紹介します。

目次

関連当事者取引とは

関連当事者取引とは、親会社や子会社などの関連当事者との取引のことで、ここでいう取引とは対価の有無にかかわらず、資源若しくは債務の移転、又は役務の提供のことをいいます。(「関連当事者の開示に関する会計基準」第5条)

会社法計算書類(会計監査人設置会社以外の非公開会社を除く)や有価証券報告書を作成する会社は、この関連当事者との取引の注記が必要となります。

関連当事者には、親会社や子会社だけでなく、兄弟会社(財務諸表作成会社と同一の親会社をもつ会社)や関連会社、また役員及びその近親者なども対象となることから、注記対象となる取引の抽出作業は結構大変な作業となります。

仕訳に相手先を入れておくメリット

前述のように、関連当事者取引の範囲は広いため、請求書などの取引記録から一つ一つ集計しているととても大変な作業になります。

そこで、予め仕訳に相手先となる会社名や役員名などを入れておくことで、集計作業を効率的に行うことが出来るというメリットがあります。

例えば、グループ会社向けの売上高を各社別に集計する際に、売上元帳で相手先の情報が集計出来れば、Excelで出力した売上元帳からPivot集計するだけで、各社への売上高金額を集計することができます。

これは売上高に限らず、すべての取引で言えることです。

相手先の入れ方

仕訳に相手先の情報を入れる場合、いくつか方法がありますが、それぞれメリット・デメリットがあります。

水色ハイライトはメリット赤色ハイライトはデメリットを意味しています。

摘要欄に手入力(△)

まず一番手っ取り早いのは、仕訳の摘要欄に手入力する方法です。

摘要欄には取引の内容を入れると思いますが、その際相手先となる会社名や役員名を入れておけば後から検索することができるので、この方法でも問題はありません。

しかし、摘要欄への入力は自由入力欄となるため、入力者によって文言が異なってしまうリスクがあります。

また、仕訳の度に長い社名を入れるのも非効率的なので、個人的にはあまりお勧めしません。

補助科目コードに入れる(〇)

次に、補助科目コードで相手先情報を付与するという方法もあります。

勘定科目には、一般的な会計ソフトであれば、補助科目として枝番号を付けて登録することができるかと思います。

例えば、売上高という勘定科目に、A社、B社、C社・・・といった具合に取引先の数だけ補助科目を登録する方法です。

この方法であれば、後から補助科目コード別に簡単に集計することもできますし、摘要欄入力のような手入力に伴うデメリットを回避することができます。

そのため、効率性の観点からもそこそこお勧めな方法です。

ただし、1点注意点があるとすれば、科目によっては補助科目が使いにくい場合があるという点です。

例えば、水道光熱費などは水道代、電気代、ガス代など取引の内容に応じて補助科目をすでに利用しているケースもあると思います。

そのような科目については、補助科目で相手先情報を区分することが難しくなるので、その点注意が必要です。

PL科目は上記のように取引内容で補助科目を分類しているケースが多いかと思います。

取引先コードを入れる(◎)

最後に、取引先コードを入れるという方法をご紹介します。

この方法は、先に説明した2つの方法のデメリットをカバーしているので、もし会計システムが対応しているのであれば、一番おススメの方法です。

取引先コードとは、補助科目コードとは別に取引先コードも付与することで、純粋に取引先別の情報を付与することができます。

一般的な会計ソフトであれば、対応していることが多いとは思いますが、会計ソフトによっては補助科目コードしか登録できない場合もあるため、その点は注意が必要です。

また、摘要欄+補助科目+取引先コードとなると、仕訳登録までの手間が一つ増えてしまうので、その点はデメリットとなるかもしれません。

とはいえ、期末に関連当事者取引の集計を、網羅的かつ、効率的に行うということを想定した場合には、この方法が一番おススメの方法になります。

仕訳で区分できない場合は別途資料を作成する

ここまで仕訳に相手先情報を付与する方法についてご紹介してきましたが、一つの仕訳に複数の相手先の取引を含めている場合もあると思います。

そのような場合には、当然仕訳で相手先を区分することは出来ないので、そのときは別途基礎資料を作るしかありません。

また、上記に限らず、仕訳に相手先を登録するよりも別の資料を作った方が、作業効率が良いのであれば、最初からこのような方法で関連当事者取引を集計するのもありだと思います。

まとめ

関連当事者との取引は、対象となる取引の範囲が広いため、集計作業は大変になりがちです。

そのため、効率的な集計を行うためにも、予め仕訳に相手先情報を登録するのは有用かと思います。

会社によって効率的な集計方法は異なると思いますので、自社にとって効率的な集計方法を検討されてみるのもよいかと思います。

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