手仕訳と自動仕訳のメリット・デメリット(自動仕訳を業務に取り入れるためのコツ)

仕訳入力には大きく分けて手仕訳と自動仕訳の2つの入力方法があります。今回は手仕訳と自動仕訳についてそれぞれのメリット・デメリット、そして自動仕訳を業務に取り入れるためのコツについて考えてみたいと思います。

目次

手仕訳のメリット・デメリット

手仕訳とは、会計システムに自ら貸借の科目や金額、摘要欄などを選択・記載して仕訳を登録することをいいます。例えば、預金通帳、カードの利用明細、請求書やレシートなどを見て1本ずつ仕訳を登録するような入力方法です。

手仕訳のメリットは、仕訳の内容を自らがすべて決めるので、複雑な仕訳でも対応できる点です。例えば、固定資産の売却や納税引当の仕訳は自動仕訳では対応しずらいので、こういった場合には手仕訳の方が適しています。

手仕訳のデメリットとしては、手間がかかることです。毎回同じような仕訳なのにも関わらず、1本ずつ仕訳を登録していく作業は時間がかかるだけでいいことはありません。

また、手仕訳の場合は金額の入力間違いなどミスが生じる可能性もあるので、仕訳登録時には仕訳の内容に問題がないかなど、しっかりとチェックする必要があります。

自動仕訳のメリット・デメリット

自動仕訳とは、他のシステムや情報との連携により、貸借の科目や金額、摘要欄などが自動で入力され、自動で仕訳が完成するような入力方法のことをいいます。例えば、金融機関やクレジットカード明細との連携などです。

自動仕訳のメリットは、手間がかからない(効率的)点です。自動で取り込まれた仕訳の内容が合っていることを確認するだけなので、作業負荷的にはとても楽になります。

また自動で金額が反映されるため、正確性という点でも大きなメリットになります。

自動仕訳のデメリットは、予め科目の貸借や摘要欄などをルール化する必要があるため、手仕訳のように複雑な仕訳には適していない点です。

また、自動仕訳を計上するための仕訳ルールの設定が必要になるため、最初の設定作業は慎重に行う必要があります。(ここで間違えると悲惨なことに、、、)

手仕訳と自動仕訳はどちらがおススメか

手仕訳も自動仕訳もそれぞれメリット・デメリットがありますが、毎回同じような仕訳を一から入力するのは非効率的ですし、仕訳の正確性という観点からも自動仕訳は有効です。そのため、自動仕訳に置き換えられそうな仕訳は積極的に自動仕訳を導入することをおススメします。また、自動仕訳への見直しを行う過程で業務の見直しも合わせて行うことで、会社全体の業務効率化につながる場合もあります。

自動仕訳を業務に取り入れるためのコツ

自動仕訳を行うためには、会計システムが仕訳の元となる情報にアクセスできるように環境を整える必要があります。そのため、すでにそのような環境がある場合には、その環境を有効活用することで対応し、そのような環境がない場合には、業務の見直しが必要となります。以下は見直し作業のイメージです。

科目現状の業務業務見直し後
預金、他 預金通帳をもとに入出金の内容を手仕訳 ネットバンキングの導入。ネット上の入出金明細と会計システムを紐づけて自動仕訳
経費個人事業主で毎月の経費は事業主借から出費し、レシートから手仕訳法人カードを導入。カードの利用明細と会計システムを紐づけて自動仕訳
経費従業員の経費精算は紙ベースで行い、経費申請書から手仕訳 経費精算システムの導入。システム上で申請承認されたデータに基づき自動仕訳
売上、売掛金得意先への請求書発行はExcel等で作成して、仕訳はその請求書から手仕訳請求書の作成・管理システムの導入。システム上に登録された請求情報、消込情報に基づき自動仕訳
人件費人事給与ソフトで計算したサマリ結果に基づき手仕訳人事給与システムや勤怠システムの導入、若しくは既にある場合は会計システムと紐づけて自動仕訳
業務見直しによる自動仕訳の導入例

業務見直し時の注意点

自動仕訳が多くなれば、経理業務の効率化につながり、従業員の労働時間の削減や決算早期化などの効果があります。しかし、業務の見直しは変更時に様々な負担があることも忘れてはなりません。

システム導入によるコスト負担、変更後の業務が軌道に乗るためのイニシャルコスト、何より新たな業務の流れを理解しなければならない従業員の負担など。業務の見直しをするときは、その業務の見直しにより得られる効果やメリット(例えば経費精算システムの導入により従業員は社外でもスマホで申請できるなど)をしっかりと関係する人に理解してもらう必要があります。

そのため、特に全社的に影響が大きい、経費精算システムや勤怠システムの導入・変更については事前にメリット・デメリットだけではなく、導入・変更までのスケジュールや手順、負担感についてもしっかりと確認すべきでしょう。

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