誰かから財産を相続するということになった場合、それはいつやるべきなのか、相続税の申告をする前にやってもいいのか、こういった疑問を持っている方に向けて現役税理士が解説します。
まず結論ですが、
相続財産の名義変更は、その財産を取得する人が決まっているのであればすぐにしてOKです。相続税の申告を待つ必要はありません。
相続税の申告は被相続人(亡くなった人)が死亡した日から10か月以内に申告と納税をすればよく、申告時に財産の名義変更が終わっているかどうかは関係ありません。そのため、財産を取得することが決まっているのであればいつしてもらってもOKです。
名義変更はいつしてもOKなのですが、大前提として上記下線にもある通り財産を取得する人が決まっている必要があります。遺言での指定、遺言がなければ遺産分割協議書での指定、遺言も遺産分割協議書もなければ法定相続割合での取得となりますので、誰がどのような配分で財産を取得するのかをまず確認しましょう。
また、名義変更手続きを進める上で知っておいたほうがいいポイントが2つあります。
- 名義変更には被相続人が亡くなったこと、その人が財産を取得する人であることを証明する書類(遺言、遺産分割協議書、戸籍謄本など)が必要になる。
- 不動産の名義変更は法務局に登記が必要になるため特に時間がかかる。
1つ目の各種書類のうち、遺言や遺産分割協議書は相続人側で適宜準備すればよいですが、戸籍謄本関係は被相続人と相続人の両方が必要になるため、自力で集めるのは少し大変かもしれません。相続は他にもやるべきことがたくさんあるため、戸籍謄本関係の収集は司法書士に依頼することをお勧めします。司法書士に依頼すれば必要な戸籍謄本関係書類をすべて集めてくれます。もちろん費用は多少かかりますが、相続では戸籍謄本などは色々な場面で使うことになるため、ここは司法書士に依頼するのがオススメです。
また不動産を相続する場合には法務局に名義変更の登記が必要になります。これも他の財産同様、被相続人と財産を取得する人であることの証明をするわけですが、不動産の場合は法務局での手続きが必要になる関係で、手続き完了までに場合によっては登記申請後1か月ぐらいかかることもあります。相続した不動産をすぐに処分しない場合はそこまで急ぐ必要はありませんが、すぐに売却等することを考えているのであれば、手続き完了までに少し時間がかかることを見越して不動産の名義変更も早めに着手されるとよいでしょう。なお不動産の名義変更も司法書士が専門家となるため、こちらも司法書士に依頼することをお勧めします。
以上、相続財産の名義変更の実施タイミングについてでした。相続は相続税の申告までのスケジュールを意識しつつ、名義変更や財産処分も同時並行で行うことになりますので、それぞれの手続きを効率的に行うことで相続全体の作業をスムーズに進めることが出来ます。全体スケジュールの管理は税理士がサポートしてくれるので、そういったサポートを希望される方はお近くの税理士に相談されるとよいでしょう。